再生可能エネルギー有効利用の最前線 ─ 最新技術の実態調査を踏まえて ─

編著者等 編著者:鈴置 保雄
発行所:一般社団法人 エネルギー・資源学会
発売元:通産資料出版会 株式会社
定価 本体 10,000円+税
体裁 B5判・330ページ(CD-ROM付き)
発行日 2016年7月発行
ISBNコード ISBN978-4-901864-67-1

エネルギー・資源学会 研究プロジェクト 最終報告書

◎ エネルギー・資源・環境の諸課題に取り組む「エネルギー・資源学会」の、2012年から 4年間に亘る研究プロジェクト「再生可能エネルギー利用に関する調査研究」の集大成。
◎ 再生可能エネルギーの利用技術、評価、利用拡大への経済・政策的側面などにおける国内外の動向、課題とその解決方策について、実際に訪問し、見学・意見交換した成果を網羅。
◎ スマートグリッド、マイクログリッド、エネルギーネットワーク等、再生可能エネルギー利用のためのシステム技術の現況を調査・収録。さらに普及促進の各種支援策を網羅。
『本研究プロジェクト』の主要テーマ  
1.再生可能エネルギーの評価
(太陽光、太陽熱、風力、バイオマス、バイオ燃料、小水力、地熱、海洋など)
・利用可能量、変動性、偏在性、経済性、環境影響、社会的受容性など
2.再生可能エネルギー利用技術の現状と課題
・各種変換技術、利用技術、制御技術、エネルギー貯蔵技術、出力予測技術
・スマートグリッド、スマートコミュニティなど
3.再生可能エネルギー利用促進のための経済・政策的方策の動向と課題
・固定価格買取制度、クリーン事業ファイナンスなど

詳細目次

本書のポイント

 地球温暖化に対する認識が高まることにより、CO2排出削減の重要性・緊急性が強く意識され、低炭素社会実現に向けての方策が模索されている。世界的に再生可能エネルギーや原子力の利用拡大、化石燃料のクリーン利用、CO2回収・貯留、各種の省エネルギーなど多様な試みがなされている。また、我が国では、2011年3月11日の東日本大震災に伴う原子力発電所事故を受けて、再生可能エネルギーへの期待が特に大きくなっている。
再生可能エネルギーを有効に利用するには、個々の技術的課題の解決だけでなく、変動性電源を大規模に系統に受け入れるインフラの整備、社会経済的な政策や制度の整備が必要である。これには、資源としての制約、経済性を考慮した現実的な利用可能量、変動性、利用技術の成熟度、経済性などを正しく理解し、社会的に正しく位置付けることが重要である。
 エネルギー・資源学会では、2012年度から2015年度にかけて研究プロジェクト「再生可能エネルギー利用に関する調査研究」を組織し、工学から社会科学まで多様な人材を擁する本学会の特徴を活かしつつ、再生可能エネルギーの利用技術、資源としてのポテンシャル、利用拡大への経済・政策的側面などに関する国内外の動向、課題とその解決方策を総合的に調査した。本書はその調査の結果をまとめたものである。
本書では、再生可能エネルギーの体系的・網羅的な紹介に関しては他の多くの類書に譲ることとし、本調査研究で得られた最新の調査結果・情報を中心にしてまとめることとした。その構成は以下のとおりである。
1.再生可能エネルギーの本格利用に向けて  2.太陽光発電  3.太陽熱利用  4.風力発電 5.バイオマスエネルギー  6.地熱エネルギー  7.海洋エネルギー  8.水力発電  9.再生可能エネルギー利用のためのシステム技術  10.再生可能エネルギー利用促進の普及支援策
 また、調査の過程で得られた知見のうち、本文として取り上げられなかったものについても、コラム記事としてなるべく紹介することとし、読者に多角的な情報を提供できるよう努めた。
 本書が我が国における再生可能エネルギーに対する理解の増進と有効利用に寄与することを切に願う。また、調査にご協力いただいた皆様をはじめ、本書の執筆者および本書の刊行についてご尽力いただいたエネルギー・資源学会事務局と通産資料出版会の各位に心より御礼を申し上げる。

2016年7月
「再生可能エネルギー利用に関する調査研究」研究プロジェクト委員長
鈴置 保雄

本書の主要目次

1 再生可能エネルギーの本格利用に向けて

1.1 再生可能エネルギーの評価

1.1.1 太陽光発電
1.1.2 太陽熱(熱利用・発電)
1.1.3 風力発電
1.1.4 バイオマスエネルギー
1.1.5 地熱エネルギー(熱利用・発電)
1.1.6 海洋エネルギー
1.1.7 水力発電

1.2 再生可能エネルギー利用のためのシステム技術

1.2.1 スマートグリッド・スマートエネルギーネットワーク
1.2.2 再生可能エネルギー利活用における水素エネルギーの役割

1.3 再生可能エネルギー利用促進のための経済・政策的方策の動向と課題

1.3.1 再生可能エネルギー利用の普及支援策の課題
1.3.2 再生可能エネルギーとファイナンス

1.4 本書を利用される皆様へ

2 太陽光発電

2.1 原理、システム

2.1.1 太陽電池の原理
2.1.2 太陽光発電システムの構成
2.1.3 太陽光発電システムの用途種類

2.2 国内外の普及動向

2.2.1 日本における普及動向
2.2.2 海外市場の概況

2.3 技術開発動向

2.3.1 太陽電池の性能向上
2.3.2 系統安定化

2.4 課題

2.4.1 低コスト化
2.4.2 系統接続可能量拡大
2.4.3 その他の課題

2.5 出力予測技術

2.5.1 背景
2.5.2 地上観測データを用いた発電出力変動の推定技術
2.5.3 数値気象モデルを用いた翌日以降の日射量予測技術
2.5.4 長い時間先の予測の信頼性を評価するための技術

COLUMN 2.1 宇宙太陽光発電システム(SSPS)の可能性

3 太陽熱利用

3.1 太陽熱利用(給湯・温水利用技術)
3.1.1 原理・システム
3.1.2 国内外の普及動向
3.1.3 技術開発動向
3.1.4 普及に向けた課題と取組み
3.1.5 人工太陽光による評価

3.2 ソーラークーリングシステム

3.2.1 ソーラークーリングシステムの概要
3.2.2 システム構成例と制御手法
3.2.3 ソーラー吸収式
3.2.4 稼働評価事例
3.2.5 普及に向けた課題

3.3 太陽熱発電 -スペインGemasolarに見る最新集光太陽熱発電-

3.3.1 スペインのエネルギー事情および再生可能エネルギー普及動向
3.3.2 集光太陽熱発電
3.3.3 タワー型集光太陽熱発電(Gemasolar)

4 風力発電

4.1 原理と現状

4.1.1 風力発電の原理
4.1.2 風力発電の現状

4.2 陸上風力

4.2.1 世界の風力発電の現状と動向
4.2.2 日本の風力発電の現状と動向
4.2.3 陸上風力発電は低風速域(ClassⅢ)へ移行

4.3 洋上風力

4.3.1 日本における洋上風力発電の現況
4.3.2 導入事例

4.4 課題

4.4.1 世界の風力発電の課題
4.4.2 日本の風力発電の課題

5 バイオマスエネルギー

5.1 概論

5.1.1 原料種類、利用可能量
5.1.2 変換技術の種類と利用形態

5.2 発電

5.2.1 原理・システム
5.2.2 国内外の普及動向
5.2.3 技術開発動向
5.2.4 課題

COLUMN 5.1 Rodenhuizeバイオマス発電所
COLUMN 5.2 北海道鹿追町におけるバイオマスガス化発電

5.3 バイオマスの熱利用について

5.3.1 原理・システム                    
5.3.2 国内外の普及動向
5.3.3 技術開発動向
5.3.4 課題 

COLUMN 5.3 焼酎粕のメタン発酵処理設備

5.4 輸送用燃料利用

5.4.1 原理・システム
5.4.2 国内外の普及動向
5.4.3 技術開発動向
5.4.4 課題 

COLUMN 5.4 北海道十勝におけるバイオディーゼル燃料の製造販売
COLUMN 5.5 Gothenburg Bio-Gas(GoBiGas)プロジェクト
COLUMN 5.6 FordonsGas社の給ガスステーション
COLUMN 5.7 ENIにおけるバイオリファイナリーへの取り組み
~ 遊休石油精製プラントの再活用 ~

6 地熱エネルギー

6.1 地熱発電

6.1.1 はじめに
6.1.2 原理・特徴
6.1.3 システム・プラント構成
6.1.4 国内外の地熱ポテンシャルおよび普及動向
6.1.5 技術課題と開発状況
6.1.6 発電コスト
6.1.7 地熱発電の導入見込み

6.2 温泉熱利用

6.2.1 はじめに
6.2.2 発電利用(バイナリー発電)
6.2.3 温泉バイナリー発電の特徴
6.2.4 温泉熱利用

6.3 地中熱利用

6.3.1 はじめに
6.3.2 地中熱利用の特長と課題
6.3.3 地中熱利用交換器の種類と特長
6.3.4 国内外の普及状況
6.3.5 導入事例

COLUMN 6.1 温泉発電で地域おこし - 小浜温泉エネルギー
COLUMN 6.2 霧島国際ホテル 温泉熱利用の事例
COLUMN 6.3 100年の歴史を持つイタリア・ラルデレロの地熱発電

7 海洋エネルギー

7.1 概要

7.1.1 はじめに
7.1.2 なぜ海洋エネルギーなのか?
7.1.3 欧州(英国)の現状
7.1.4 わが国での産業化に向けた課題
7.1.5 戦略的技術革新の加速策
7.1.6 急がれる条件整備

7.2 波力発電

7.2.1 振動水柱式
7.2.2 機械式
7.2.3 着底型の特徴
7.2.4 今後の課題

7.3 海洋温度差発電

7.3.1 基本原理
7.3.2 複合利用
7.3.3 海外の動向
7.3.4 低温度差技術
7.3.5 発電効率
7.3.6 新しい技術

COLUMN 7.1 EMEC(European Marine Energy Centre(ヨーロッパ海洋エネルギーセンター))

8 水力発電

8.1 水の利用とエネルギー

8.1.1 水の利用とダム
8.1.2 水力発電

8.2 小水力発電

8.2.1 小水力発電のポテンシャル
8.2.2 小水力発電事業の開発
8.2.3 小水力発電事業開発の課題

COLUMN 8.1 千葉県水道局幕張給水所 マイクロ水力発電
COLUMN 8.2 海外における小水力開発の動向
COLUMN 8.3 海外における小水力発電事業開発の方法

9 再生可能エネルギー利用のためのシステム技術

9.1 再生可能エネルギー電源の系統連系問題:スマートグリッド

9.1.1 欧州における再生可能エネルギー電源大量連系と対応策
9.1.2 スペイン再生可能エネルギーコントロールセンター(CECRE)
9.1.3 ドイツ配電会社における再生可能エネルギー発電の対応策

COLUMN 9.1 オークニー諸島のSSEPD
(Scottish and Southern Energy Power Distribution)によるスマートグリッド
COLUMN 9.2 宮古島マイクログリッド
COLUMN 9.3 鹿児島県薩摩川内市におけるスマートグリッド実証試験
COLUMN 9.4 豊田市スマート実証プロジェクト
COLUMN 9.5 愛知工業大学におけるマイクログリッドの実証実験

9.2 スマートエネルギーネットワーク

9.2.1 背景
9.2.2 必要とされる技術
9.2.3 再生可能エネルギーの活用
9.2.4 事例紹介
9.2.5 まとめ

COLUMN 9.6 トヨタF-grid
COLUMN 9.7 リヨンコンフルエンス地区 スマートコミュニティ実証

9.3 再生可能エネルギーの利活用における水素エネルギーの役割

9.3.1 エネルギー貯蔵方法としての水素 
9.3.2 最近の水素活用への取り組み

COLUMN 9.8 Audi e-gas Project(ドイツWerlte)

10 再生可能エネルギー利用の普及支援策

10.1 各種普及支援策
10.2 RPS(再生可能エネルギー割当て基準)
10.2.1 国外における適用
10.2.2 我が国におけるRPS

10.3 FITとFIP

10.4 再生可能エネルギーとファイナンス

10.4.1 クリーンエネルギー技術の途上国展開とファイナンス

COLUMN 10.1 再生可能エネルギーのファイナンス

一般社団法人 エネルギー・資源学会

エネルギー・資源・環境の諸課題に産学官の緊密な協力関係のもと、学際的、業際的活動で取り組むエネルギー・資源学会は、1980 年「エネルギー・資源研究会」として設立、1990 年「エネルギー・資源学会」に改称、2009 年に一般社団法人に移行。
学会誌「エネルギー・資源」の刊行、電子ジャーナル「エネルギー・資源学会論文誌」への研究論文掲載、研究発表会・コンファレンス・研究会・見学会・講習会・エネルギー政策懇話会等の開催、特定テーマを対象とした研究プロジェクトの推進などを主な研究活動としている。

〔会長;鈴置 保雄(愛知工業大学工学部電気学科電気工学専攻教授、名古屋大学名誉教授)

【執筆者一覧】 (五十音順,勤務先・所属・役職は,2016年3月末現在)

氏 名
勤務先 ・ 所属 ・ 役職名

浅 野 浩 志  

電力中央研究所 社会経済研究所 副研究参事,東京大学大学院新領域創成科学研究科 客員教授,早稲田大学大学院先進理工学研究科 客員教授

天 野 寿 二

東京ガス(株)基盤技術部 研究企画グループマネージャー

伊 藤   歩

金融ジャーナリスト

上 田 悦 紀

日本風力発電協会 事務局部長

宇 高 忠 俊

エネルギー戦略研究所(株)取締役、アナリスト

大 坂 典 子

東京ガス(株)基盤技術部エネルギーシステム研究所環境システムチームリーダー

太 田 智 久

(株)タクマ 東京技術企画部東京技術企画課長

小 川 幸 男

東邦ガス(株)技術企画部担当部長

小 野 永 吉

鹿島建設(株)技術研究所 建築環境グループ研究員

小 山   優

川崎重工業(株)企画本部 事業企画部課長

恩 田 直 樹

東京ガス(株)ソリューション技術部 空調・温水技術グループ係長

亀 井 淳 史

(株)テクノバ 取締役社長

木 下   健

長崎総合科学大学 学長

塩 谷 正 樹

  鹿島建設(株)技術研究所主席研究員

志子田 繁 一

川崎重工業(株)企画本部 事業企画部課長

城 出 浩 作

ソーラーシステム振興協会 技術部長

進 士 誉 夫

東京ガス(株)営業イノベーションプロジェクト部スマエネエンジニアリンググループマネージャー

鈴 置 保 雄

愛知工業大学工学部電気学科電気工学専攻教授、 名古屋大学名誉教授

鈴 木   清

ひびきエル・エヌ・ジー(株)ひびきLNG基地 業務部管理グループ 

田 村 英 寿 

電力中央研究所 地球工学研究所上席研究員

近 本 一 彦  

日本エヌ・ユー・エス(株)取締役

西 川 徳 裕 

関西電力(株)東京支社次長

西 原   徹  

中国電力(株)流通事業本部 中央給電指令所所長 

平 川 康 夫

(株)NTTファシリティーズ エネルギー事業本部技術部創エネ担当課長

福 田 一 成

アズビル(株) ビルシステムカンパニー マーケティング本部部長

森 田   圭

JXエネルギー(株)中央技術研究所 技術戦略室エネルギー技術プロジェクトグループシニアスタッフ

森 田 真由美

月島機械(株)企画・管理本部 経営企画部リサーチグループ

山 﨑   修  

大阪ガス(株)リビング事業部 商品技術開発部部長付 シニアリサーチャー

吉 高 ま り

三菱UFJモルガン・スタンレー証券(株)クリーン・エネルギー・ファイナンス部主任研究員

由 本 勝 久

電力中央研究所 システム技術研究所上席研究員